
「もしかすると、あの治療は医療ミスだったのではないか」といった不安を抱えていませんか。
納得のいかない診断や処置を受けたあとに症状が悪化したり、後遺症が残ったりすると、患者や家族は大きな精神的苦痛を受けます。
しかし、医療機関に対して慰謝料を請求するには、単なる不満ではなく、過失・因果関係・損害を裏づける証拠が欠かせません。
本記事では、医療ミスで慰謝料を取るために必要な条件や証拠収集の方法、請求の具体的な流れをわかりやすく解説します。
この記事を読むことで、「慰謝料請求に何が必要か」「どのように行動すべきか」が整理でき、適切な解決への第一歩を踏み出せます。
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医療ミスによる慰謝料とは、医師や医療機関の対応によって本人や遺族が受けた精神的な苦痛に対して請求できる損害賠償のひとつです。
しかし、単に治療がうまくいかなかったからといって慰謝料が認められるわけではありません。
法律上「医療過誤」として成立するには、次の3つの要件を満たす必要があります。
これらを満たす場合、民法709条の不法行為責任に基づき慰謝料請求が可能です。
医療ミスによる慰謝料請求は、示談交渉・調停・裁判といった複数の手続きによって進められます。
しかし、どの方法を選ぶにしても、主張を裏づける客観的な証拠や損害の内容を整理しておくことが必要です。
ここからは、慰謝料請求を進めるうえで欠かせない事前準備の具体的な方法について解説します。
慰謝料請求を成立させるには、症状の悪化や後遺症などが、医療ミスによって生じたものであることを明確に示す証拠が重要です。
代表的な証拠にはカルテや診察記録があげられますが、これらは病院が保管しているため、カルテ開示請求が必要です。
請求方法は病院によって違いがあるものの、多くの場合、申請書とともに本人確認書類を提出することで対応してもらえます。
さらに、「証拠保全手続き」を取るのも有効です。
証拠保全手続きとは、裁判所を通じて正式に証拠を確保する手続きのことです。
病院側が後から記録を修正してしまうリスクを避けられるため、後の示談や訴訟で重要な役割を果たします。
医療ミスによる慰謝料を請求するには、損害の程度を明確に算定する必要があります。
慰謝料は損害賠償の一部であり、精神的苦痛に対する補償として位置づけられています。
そのため、実際の示談交渉や裁判では、慰謝料だけでなく他の損害とあわせて請求することが一般的です。
具体的には、医療ミスによって発生した次のような損害を算定したうえで、賠償額を請求します。
上記に慰謝料を加えることで、最終的な損害額を算出します。
医療ミスによる損害賠償を請求する権利には、法律で時効が定められています。
民法上、賠償請求権は損害と加害者を知った時から5年、または医療ミス発生から20年で消滅します。
時効を過ぎると、医療ミスが明らかであっても慰謝料や損害賠償は請求できません。
したがって、医療ミスが発覚した場合は、即時に対応を行なうことが重要です。
さらに注意すべき点として、病院のカルテや診療記録の保管期間は通常5年間と定められていることがあげられます。
記録が破棄されると証拠の収集が難航するため、証拠保全の観点からも、スピーディーな対応が求められます。
ここからは、医療ミスで慰謝料を取る方法を解説します。
医療ミスによる慰謝料請求を進める際は、集めた証拠を弁護士に提出しましょう。
医療ミスに該当するかの判断には、法律的な知識と医療的な知識の両方が必要です。
患者や家族だけで判断するのは非常に困難と言えます。
弁護士に相談すれば、収集したカルテや診療記録をもとに、医療行為に過失があったかどうかを精査してもらえます。
また、証拠が不足している場合には、追加でどのような資料を確保すべきかアドバイスを受けられる点も大きなメリットです。
さらに、慰謝料の相場や損害賠償に含まれる費用項目についても、弁護士が丁寧に説明してくれます。
治療費や休業損害、将来の収入減少分といった経済的損害まで含めて、どの程度の補償が見込まれるかを把握することが可能です。
今後の交渉や訴訟を有利に進められるでしょう。
医療ミスによる慰謝料請求は、示談交渉から始まることがほとんどです。
交渉では、患者側が収集した証拠をもとに「医師の過失」「因果関係」「損害の内容」を整理し、慰謝料や損害賠償を求めます。
重要なのは、感情的な主張ではなく、法的根拠に基づいた説明を行なうことです。
法的に裏付けられた請求であれば、病院側から譲歩を引き出せる可能性が高まります。
示談交渉で双方が納得の行く決断が出せた場合、時間や費用の負担を裁判よりも抑えて解決することが可能です。
ただし、病院側が責任を否定したり、提示額が不適切だったりする場合は、交渉が長引くこともあります。
交渉が決裂する可能性もあるため、必ずしも解決を図れるわけではありません。
示談交渉で合意に至らない場合には、次の手段として「医療ADR」を利用する方法があります。
医療ADRとは、医療紛争が発生した際に中立的な第三者が関与し、当事者同士の話し合いによる自主的な解決を目指す手続きです。
裁判に比べて時間や費用の負担が少なく、柔軟な解決が期待できる点が特徴です。
この手続きでは、医療ミス事例の経験が豊富な弁護士などが仲介役となり、双方の意見を整理しながら合意形成を支援します。
第三者が入ることで、感情的な対立が緩和され、冷静な議論が進みやすくなるのも大きなメリットです。
また、第三者からの丁寧な説明や調整を通じて、患者と医療機関の間で信頼関係を回復できるケースもあります。
ただし、ADRはあくまで話し合いによる解決を目指す手続きであり、強制力はありません。
合意に至らない場合や病院側が誠実に応じない場合には、訴訟に踏み切る必要があります。
示談交渉や医療ADRを経ても解決に至らない場合、最終手段として訴訟を提起することになります。
訴訟は時間も費用もかかりますが、裁判所の判断によって強制力のある解決が得られる点が大きな特徴です。
訴訟を有利に進めるには、適切な医療が行なわれなかったことを裏づける証拠を提出し、どの法律に違反しているのかを主張・立証する必要があります。
しかし、医師の過失や因果関係を証明するには専門知識が求められます。
医療ミスの事案に詳しい弁護士への依頼が不可欠です。
弁護士は専門的な視点に基づいて、証拠の整理や追加調査を行ない、法的主張を適切に組み立ててくれます。
専門家のサポートを受けながら訴訟手続きを進めることで、納得のいく結果を得られる可能性が高まります。
医療ミスの慰謝料請求を進めるうえで、決定的な役割を果たすのが「証拠」です。
しかし、カルテや診療記録の開示だけでは不十分な場合や、病院側が不利な事実を隠している場合もあります。
示談交渉や訴訟で有利となる証拠を集める際には、探偵による調査がおすすめです。
探偵であれば、専門的な知見に基づいて確実性の高い証拠を押さえられます。
例えば、開示されたカルテや診療記録に修正の痕跡がないかを筆跡鑑定で調べたり、記録の改ざんや不自然な点を調査したりすることも可能です。
長年の経験をもとに、病院側の隠ぺいや証拠改ざんを未然に防ぎつつ、調査できるのが大きな強みです。
さらに、探偵は今後必要となる証拠や手続きに関して、具体的なアドバイスも行なってくれます。
医療ミスに強い弁護士と連携して調査を進められるため、証拠収集から慰謝料請求までスムーズに行える点も魅力です。
証拠の有無が慰謝料請求の成否を大きく左右する以上、探偵の活用は有力な選択肢のひとつといえるでしょう。
医療ミスの慰謝料には、次の3つの種類があります。
ここでは、それぞれの相場を詳しく解説します。
入院慰謝料の相場は、通院の場合で1日約2700円~9300円、入院の場合は1日約7500円~1万7,000円程度です。
入院慰謝料とは、医療ミスによって通院や入院を余儀なくされた場合、その精神的苦痛に対して支払われる慰謝料です。
治療にかかった実費とは別に請求できるものであり、入院期間や通院期間の長さによって金額が変動します。
一般的には、入院日数が長くなるほど金額が高く算定され、通院の場合も通院回数や期間の長さが考慮されます。
ただし、症状の程度や生活への影響度合いによっても金額は変わるため、同じ入院期間であっても一律ではありません。
医療ミスによって患者が死亡した場合に請求できるのが「死亡慰謝料」です。
死亡慰謝料は、遺族が被る深い精神的苦痛に対して支払われるものであり、被害者の立場によって以下のように金額が異なります。
一般的には、被害者が一家の生計を支えていた場合には金額が高く算定される傾向があります。
例えば、現役で働く父母が死亡したケースと、高齢で扶養家族のいない方が死亡したケースとでは、慰謝料額に差が生じます。
このように、死亡慰謝料は一律ではなく、亡くなった方の立場や家族構成、生活状況を踏まえて決定されるのです。
医療ミスによって後遺症が残った場合、その精神的苦痛に対して支払われるのが「後遺症慰謝料」です。
金額は、裁判所が用いる「後遺障害等級」に基づいて算定されます。
この等級は1級から14級まであり、等級が重いほど慰謝料は高額になります。
| 後遺障害等級 | 慰謝料の目安(裁判基準) |
|---|---|
| 1級 | 約2,800万円 |
| 2級 | 約2,370万円 |
| 3級 | 約1,990万円 |
| 4級 | 約1,670万円 |
| 5級 | 約1,400万円 |
| 6級 | 約1,180万円 |
| 7級 | 約1,000万円 |
| 8級 | 約830万円 |
| 9級 | 約690万円 |
| 10級 | 約550万円 |
| 11級 | 約420万円 |
| 12級 | 約290万円 |
| 13級 | 約180万円 |
| 14級 | 約110万円 |
(※上記はあくまで裁判所の基準による目安であり、実際の金額は事案や状況により異なります。)
医療ミスによる後遺症は、今後の人生全体に影響する重大な損害です。
単なる入院や通院の負担とは異なるため、正確な等級認定を受けることが極めて重要です。
弁護士や専門機関のサポートを受けながら、請求を進めることが望まれます。
医療ミスの被害に遭った際は、慰謝料以外にも損害賠償請求が可能です。
ここでは、慰謝料以外に請求できる賠償について解説します。
医療ミスによって発生した損害のうち、実際に支出を伴うものを「積極損害」と呼びます。
積極損害には、追加で必要となった治療費や通院費用だけでなく、死亡した場合の葬儀費用なども含まれます。
積極損害に含まれる代表的な項目は、以下のとおりです。
| 損害項目 | 内容の例 |
|---|---|
| 治療費 | 医療ミスが原因で追加的に必要となった治療費用 |
| 薬代 | 薬の処方費用、追加で必要となった薬剤費 |
| 通院交通費 | 通院にかかった電車・バス代、タクシー代など |
| 入院雑費 | 入院時の食事代、日用品代など |
| 介護費用 | 自宅介護や付添い看護師を依頼した場合の費用 |
| 葬儀費用 | 医療ミスにより死亡した場合の葬儀や埋葬にかかる費用 |
これらは領収書や明細書などによって証明できるため、請求する際には必ず保管しておくことが重要です。
医療ミスによって入院や通院が必要になり、仕事を休まざるを得なかった場合には「休業損害」として損害賠償を請求できます。
休業損害は、本来であれば得られていた収入を基準に算定されるものです。
給与所得者だけでなく自営業者やフリーランスも対象になります。
算定の際は、給与明細や源泉徴収票、確定申告書などをもとに、事故や医療ミスがなければ受け取れていたであろう収入額を算出します。
自営業者やフリーランスの場合は、過去の売上や所得の平均額を基準に計算されるのが一般的です。
また、収入を得ていない専業主婦(主夫)の場合でも、家事労働は経済的な価値を持つと認められています。
そのため、女性労働者の全年齢平均賃金を基準に、休業損害を算定して請求できます。
医療ミスによる後遺症が残った場合、将来的に得られるはずだった収入が減少することがあります。
その減収分を補填するのが「逸失利益」です。
例えば、労働能力が低下して働けなくなったり、昇進や昇給の機会を失ったりした場合、その分の損害を賠償請求できます。
逸失利益の算定は、以下の計算式に基づいて行なわれます。
逸失利益は損害賠償のなかでも金額が大きくなる傾向があるため、正確な計算と専門家のサポートが不可欠です。
医療ミスによる慰謝料請求を成立させるには、過失・因果関係・損害の立証が不可欠です。
そのためには、弁護士と連携して、カルテや診療記録といった客観的証拠を確保し、示談交渉・ADR・訴訟など適切な手続を選択することが重要となります。
また、証拠の有無は請求の成否を大きく左右するため、必要に応じて探偵による調査を活用するのも有効です。
専門的なサポートを得ながら進めることで、慰謝料だけでなく将来的な生活を支えるための賠償を適切に受けられる可能性が高まります。
医療ミスに直面した際には、一人で抱え込まず、弁護士や探偵といった専門家へ早期に相談することが、納得のいく解決への第一歩となるでしょう。

監修者・執筆者 / 山内
1977年生まれ。趣味は筋トレで現在でも現場に出るほど負けん気が強いタイプ。得意なジャンルは、嫌がらせやストーカーの撃退や対人トラブル。監修者・執筆者一覧へ
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