Wiki
本記事ではプライバシーの侵害と慰謝料をテーマにご紹介していきます。またプライバシーの侵害が成立する要件、諸外国でのプライバシー保護の取り決め、実際に起こった判例などを踏まえて、本記事を参考にしていただければ幸いです。
プライバシーの侵害とは、人が私生活において秘密にしておきたいことや、プライベートな情報を誰かが無断で晒す行為のことです。例えば家庭の事情や個人間での会話を公開される事や、部屋をのぞき見されたり、過去の経歴を著作で無断使用した場合などが、プライバシーの侵害になる可能性があります。
プライバシーの侵害を証明するには私生活への侵入によって受けた精神的苦痛を証明するだけで十分です。個人の平穏な私生活を保護するためのプライバシーの権利と、国民の表現の自由の調整が難しいとされていますが、基本的に双方を比較して断定される事が多いです。日本でプライバシーの権利の侵害が問題化されたのは1980年代で、写真週刊誌『フライデー』編集部乱入事件がその代表的な事例とされています。
プライバシーの侵害については下記に挙げる3つの要件が該当した情報が公開された場合、プライバシーの侵害が成立する可能性があります。
例えば「あの人は親戚から借金をしている」という事実はプライバシー情報を構成する可能性が高いです。それに対して、「あの人は犬を飼っている」という事実は公開されようと非公開であろうと重要なことではないので、プライバシー情報ではないと評価される可能性があります。
プライバシーの侵害をした相手に損害賠償請求訴訟を起こすことができます。損害賠償として請求できる金額は、一般的に慰謝料および発信者特定のための調査費用、弁護士費用などが該当します。過去の判例を見る限り「プライバシー侵害に対する慰謝料相場」は低く、相場は100万円を下回るものが多いです。
しかし、現在ではSNSやネット掲示板の普及、それに伴う法律の整備が進んだことにより、プライバシーの侵害による慰謝料の金額相場は上昇傾向にあり、プライバシーの侵害によって名誉を侵害した場合は10万円~50万円、金銭面での実害が発生した場合は100万円以上の慰謝料を請求されることも多くなってきました。
日本では上記のようにプライバシーの侵害に慰謝料請求ができるのに対して、アメリカやイギリスでもプライバシー保護に対して取り決めがあります。
プライバシーの侵害判例は以下のようになります。
原告が、被告において原告が被写体となっている写真1点を原告に無断で複製してインターネット上のツイッター上にアップロードした行為が、原告の当該写真に係る著作権(複製権及び公衆送 信権)、肖像権及びプライバシー権を侵害すると主張して、被告に対して損害賠償請求をした裁判。
判決:損害賠償47万1,500円の支払い(プライバシー侵害に対する損害:30万円)訴訟費用の1/4を被告の負担とする
平成29(ワ)41277 損害賠償請求事件 著作権 民事訴訟 引用:裁判所判例Watch
原告の配偶者が、元交際相手からストーカー行為の被害を受けており、住民基本台帳事務におけるDV等支援措置の対象者となっていたが、元交際相手から住所を特定されて殺害された。本件は、総務部税課に勤務していた被告が、原告の配偶者の夫を装った元交際者に、住民基本台帳に記載された住所を伝えたことに対して、プライバシーを違法に侵害されたとして損害賠償請求をした裁判。
判決:損害賠償110万円の支払い訴訟費用の1/10を被告の負担とする。
平成28(ワ)328 慰謝料請求 引用:裁判所判例Watch
警察署による職務質問及び所持品検査を受けた原告が、当該所持品検査等の行為が警察官職務執行法2条で認められる範囲を超える違法なものであり、それにより精神的苦痛を被ったと主張して、国家賠償法1条1項に基づき、被告に対し損害賠償請求をした裁判。
判決:損害賠償3万円の支払い訴訟費用の3/10を被告の負担とする。
平成27(ワ)367 国家賠償法 引用:裁判所判例Watch
Copyright(C) 慰謝料請求専門調査窓口. All Rights Reserved.
(C) 慰謝料請求専門調査窓口